糖尿病の治療
糖尿病のタイプ
1型糖尿病
膵臓のインスリンを分泌するβ細胞が破壊され、インスリン分泌がほぼ無くなってしまう糖尿病です。原因としては自己免疫疾患やウイルス感染などにより、発病することがわかっています。若年層に多く、成人や高齢者での発症は少ないですが、成人後に徐々にβ細胞が破壊されて発症することもあります。
2型糖尿病
インスリン分泌が低下やインスリン抵抗性(インスリン感受性が低下した状態)が原因の糖尿病です。糖尿病のタイプは圧倒的に2型糖尿病が多く、生活習慣病と呼ばれるタイプの糖尿病です。
この1型糖尿病、2型糖尿病以外に、「その他の型の糖尿病」、「妊娠糖尿病」などがあります。
糖尿病の治療について
糖尿病の治療の目的は、合併症の発症・進行を予防するために高血糖を改善すること、つまり血糖コントロールをつけることが重要となります。治療には、食事療法、運動療法、薬物療法が基本となります。
当院では、運動療法、食事療法、内服薬やインスリン注射・GLP-1注射などによる薬物療法を行っています。
また、インスリン注射の外来導入やインスリン注射から内服薬への変更なども外来で実施しておりますので、ご相談ください。
糖尿病教育入院や糖尿病の合併症治療については近隣病院と連携して治療を行っています。
内服薬
・スルホニル尿素(SU)薬
膵臓に作用しインスリン分泌を促進させる薬です。血糖を下げる作用は強めですが、低血糖を起こすリスクがあります。
・グリニド薬(速効型インスリン分泌促進薬)
上記のスルホニル尿素薬と同様に、膵臓に作用しインスリン分泌を促進させる薬です。スルホニル尿素薬より、効果はマイルドですが、作用時間が短く低血糖のリスクはやや低めです。
食後の高血糖を是正する効果があります。
・DPP-4阻害薬
膵臓からのインスリン分泌を促進させる薬です。上記2つとは異なり、血糖が高い時にインスリン分泌を促進させ、血糖が低い時にはインスリンを分泌しない薬です。
現在は、治療薬の中で最も多くの人に使用されています。
・ビグアナイド薬
インスリン抵抗性改善作用があり、必要なインスリン量を減らす効果があります。古くからある薬です。
・SGLT2阻害薬
新しい薬で、1日に70~80gの糖を尿中に排出させます。3 kg程度の体重減少効果もあります。心疾患、腎機能改善などの合併症を抑制する可能性も期待できる薬です。
・α-グルコシダーゼ阻害(α-GI)薬
腸管からの糖質の吸収阻害薬です。内服することによって食後の高血糖を抑制します。
・チアゾリジン薬
インスリン抵抗性改善薬とも言われており、インスリンの効きを改善する薬です。
糖尿病の薬は日々進化してきており、ここ数年は新たな作用をもった画期的な薬が登場してきております。個々の患者さんの病態やライフスタイルに合わせた治療を提案していきます。
注射薬
・インスリン製剤
インスリン注射には様々な製剤があり、24時間の長時間に渡って作用するものから、食事ごとに打つ短時間作用タイプのものまでいろいろな種類があります。個々の患者さんに合わせたインスリン製剤を選択し調整していくことにより血糖コントロールをつけていくことが必要となります。
・GLP-1受容体作動薬
GLP-1とは、食後に腸管から分泌されるホルモンで、血糖に依存して膵臓からのインスリン分泌を促進させるという働きがあります。特徴として、血糖が高い時にインスリンを分泌を促進させ、血糖が低い時にはインスリンを分泌しないため、低血糖のリスクが低い製剤となっております。また、GLP-1受容体作動薬には食欲抑制作用があり、体重減少をもたらす効果も期待できます。